カンドコロ

抑肝散ヨクカンサン

神経の高ぶりを鎮め、イライラや不眠、子どもの夜泣きなどに効果があります。

この漢方薬が合う人の証(タイプ)

裏・虚

この漢方薬は、これらの特徴(証)を持つ体質の人の症状を改善するのを得意としています。

「抑肝散」は、体力が中等度で、ストレスなどにより「肝」の気が高ぶって起こる神経症状に用いられる漢方薬です。名前の通り、高ぶった肝を抑えることで、イライラ、怒りっぽい、不眠、歯ぎしり、子どもの夜泣きといった症状を鎮めます。どちらかというと『虚証』寄りの方の神経過敏を穏やかにするのに適しています。

どんな人に向いている?(陰陽のタイプ)

判定: 陰証(いんしょう)

「陰証」とは、例えば、病気が長引いて体力が落ちていたり、体が冷えやすかったりする、エネルギーが不足した状態のことです。この漢方薬は、体を温めたり、元気を補ったりするのを助けます。

「証」のバランスチャート

この漢方薬が、どんな状態の人に特に合うかを示すグラフです。それぞれの「証」が、病気の場所や性質、その人の体力などを表しています。

  • 表(ひょう)・裏(り):病気が体のどこにあるかを示します。「表」はかぜのひき始めなど、病気が体の表面近くにある状態。「裏」は病気が体の奥深くまで進んだ状態です。
  • 熱(ねつ)・寒(かん):体が熱っぽいか、冷えているかを示します。「熱」は体に熱がこもっている状態。「寒」は体がゾクゾクと冷えている状態です。
  • 実(じつ)・虚(きょ):その人の体力と、病気の勢いのバランスを示します。「実」は体力があり、病気と戦う力が十分にある状態。「虚」は体力がなく、体が弱ってしまっている状態です。

このグラフを見ることで、その漢方薬がどんな人の、どんな症状を助けるのが得意なのかが、ひと目で分かります。

構成生薬と「証」へのアプローチ

漢方薬は、「生薬(しょうやく)」という自然の材料の組み合わせでできています。一つ一つの生薬が、人の体の特定の状態(証)に働きかけることで、漢方薬全体としての効果が生まれます。

蒼朮ソウジュツ

体内の余分な水分を取り除き、消化を助ける。

茯苓ブクリョウ

利尿作用があり、精神を安定させる。

川芎センキュウ

血行を促進し、痛みを和らげる。特に頭痛に良い。

釣藤鈎チョウトウコウ

肝の高ぶりを鎮め、けいれんやめまい、頭痛を和らげる。

当帰トウキ

血を補い、血行を良くする。女性の健康に良いとされる。

柴胡サイコ

解熱や抗炎症作用があり、胸のつかえを和らげる。

甘草カンゾウ

他の生薬の働きを調和させ、痛みを和らげる。