カンドコロ

麻黄湯マオウトウ

汗が出ず、強い寒気と体の節々の痛みがある風邪の初期に使われます。

この漢方薬が合う人の証(タイプ)

表・寒・実

この漢方薬は、これらの特徴(証)を持つ体質の人の症状を改善するのを得意としています。

「麻黄湯」が適応となる状態は、漢方の古典で『麻黄湯証』として知られています。これは葛根湯証よりもさらに体力と病気の勢いが強い『実証』『表証』タイプです。汗は全く出ず、悪寒が非常に強く、高熱や体の節々の激しい痛みが特徴です。麻黄の強い発汗作用により、体を温め、病邪を体表から発散させることで、これらの症状を力強く改善します。

どんな人に向いている?(陰陽のタイプ)

判定: 陽証(ようしょう)

「陽証」とは、例えば、かぜのひき始めで熱があったり、体が力強く病気と戦っていたりする、エネルギーに満ちた状態のことです。この漢方薬は、そうした体の反応を穏やかに整えるのを助けます。

「証」のバランスチャート

この漢方薬が、どんな状態の人に特に合うかを示すグラフです。それぞれの「証」が、病気の場所や性質、その人の体力などを表しています。

  • 表(ひょう)・裏(り):病気が体のどこにあるかを示します。「表」はかぜのひき始めなど、病気が体の表面近くにある状態。「裏」は病気が体の奥深くまで進んだ状態です。
  • 熱(ねつ)・寒(かん):体が熱っぽいか、冷えているかを示します。「熱」は体に熱がこもっている状態。「寒」は体がゾクゾクと冷えている状態です。
  • 実(じつ)・虚(きょ):その人の体力と、病気の勢いのバランスを示します。「実」は体力があり、病気と戦う力が十分にある状態。「虚」は体力がなく、体が弱ってしまっている状態です。

このグラフを見ることで、その漢方薬がどんな人の、どんな症状を助けるのが得意なのかが、ひと目で分かります。

構成生薬と「証」へのアプローチ

漢方薬は、「生薬(しょうやく)」という自然の材料の組み合わせでできています。一つ一つの生薬が、人の体の特定の状態(証)に働きかけることで、漢方薬全体としての効果が生まれます。

麻黄マオウ

発汗を促し、咳を鎮める。

桂皮ケイヒ

体を温め、血行を良くする。

杏仁キョウニン

咳を鎮め、呼吸を楽にする。

甘草カンゾウ

他の生薬の働きを調和させ、痛みを和らげる。