カンドコロ

十全大補湯ジュウゼンタイホトウ

手術や病後で消耗した気力・体力を補い、貧血や手足の冷えも改善します。

この漢方薬が合う人の証(タイプ)

裏・寒・虚

この漢方薬は、これらの特徴(証)を持つ体質の人の症状を改善するのを得意としています。

「十全大補湯」は、体力と元気(気)と血液(血)の両方が著しく不足した『気血両虚』という状態に用いられる、代表的な補薬です。手術や大病の後などで体力が消耗し、顔色が悪く、貧血気味で、手足が冷えるといった『虚証』の症状全般を、文字通り「十全に」「大いに補う」ことを目的としています。

どんな人に向いている?(陰陽のタイプ)

判定: 陰証(いんしょう)

「陰証」とは、例えば、病気が長引いて体力が落ちていたり、体が冷えやすかったりする、エネルギーが不足した状態のことです。この漢方薬は、体を温めたり、元気を補ったりするのを助けます。

「証」のバランスチャート

この漢方薬が、どんな状態の人に特に合うかを示すグラフです。それぞれの「証」が、病気の場所や性質、その人の体力などを表しています。

  • 表(ひょう)・裏(り):病気が体のどこにあるかを示します。「表」はかぜのひき始めなど、病気が体の表面近くにある状態。「裏」は病気が体の奥深くまで進んだ状態です。
  • 熱(ねつ)・寒(かん):体が熱っぽいか、冷えているかを示します。「熱」は体に熱がこもっている状態。「寒」は体がゾクゾクと冷えている状態です。
  • 実(じつ)・虚(きょ):その人の体力と、病気の勢いのバランスを示します。「実」は体力があり、病気と戦う力が十分にある状態。「虚」は体力がなく、体が弱ってしまっている状態です。

このグラフを見ることで、その漢方薬がどんな人の、どんな症状を助けるのが得意なのかが、ひと目で分かります。

構成生薬と「証」へのアプローチ

漢方薬は、「生薬(しょうやく)」という自然の材料の組み合わせでできています。一つ一つの生薬が、人の体の特定の状態(証)に働きかけることで、漢方薬全体としての効果が生まれます。

黄耆オウギ

気を補い、体力をつけ、汗を調節する働きがある。

桂皮ケイヒ

体を温め、血行を良くする。

地黄ジオウ

体を潤し、血を補う。

芍薬シャクヤク

筋肉のけいれんや痛みを和らげる。

蒼朮ソウジュツ

体内の余分な水分を取り除き、消化を助ける。

川芎センキュウ

血行を促進し、痛みを和らげる。特に頭痛に良い。

当帰トウキ

血を補い、血行を良くする。女性の健康に良いとされる。

人参ニンジン

体力を補い、消化機能を高める。

茯苓ブクリョウ

利尿作用があり、精神を安定させる。

甘草カンゾウ

他の生薬の働きを調和させ、痛みを和らげる。