カンドコロ

防風通聖散ボウフウツウショウサン

お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の肥満症やむくみに用いられます。

この漢方薬が合う人の証(タイプ)

表・裏・熱・実

この漢方薬は、これらの特徴(証)を持つ体質の人の症状を改善するのを得意としています。

「防風通聖散」は、体力が充実しており、お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな『実証』『熱証』タイプの方に適しています。体に溜まった余分な熱や毒素を、発汗、排便、排尿など、あらゆるルートから発散・排出させる(通聖する)強力な作用があります。これにより、肥満症やそれに伴うのぼせ、むくみなどを改善します。

どんな人に向いている?(陰陽のタイプ)

判定: 中庸(ちゅうよう)

「陽証」と「陰証」のどちらにも偏らず、バランスの取れた状態の人や、様々な体質の人が使える、穏やかな漢方薬です。

「証」のバランスチャート

この漢方薬が、どんな状態の人に特に合うかを示すグラフです。それぞれの「証」が、病気の場所や性質、その人の体力などを表しています。

  • 表(ひょう)・裏(り):病気が体のどこにあるかを示します。「表」はかぜのひき始めなど、病気が体の表面近くにある状態。「裏」は病気が体の奥深くまで進んだ状態です。
  • 熱(ねつ)・寒(かん):体が熱っぽいか、冷えているかを示します。「熱」は体に熱がこもっている状態。「寒」は体がゾクゾクと冷えている状態です。
  • 実(じつ)・虚(きょ):その人の体力と、病気の勢いのバランスを示します。「実」は体力があり、病気と戦う力が十分にある状態。「虚」は体力がなく、体が弱ってしまっている状態です。

このグラフを見ることで、その漢方薬がどんな人の、どんな症状を助けるのが得意なのかが、ひと目で分かります。

構成生薬と「証」へのアプローチ

漢方薬は、「生薬(しょうやく)」という自然の材料の組み合わせでできています。一つ一つの生薬が、人の体の特定の状態(証)に働きかけることで、漢方薬全体としての効果が生まれます。

当帰トウキ

血を補い、血行を良くする。女性の健康に良いとされる。

芍薬シャクヤク

筋肉のけいれんや痛みを和らげる。

川芎センキュウ

血行を促進し、痛みを和らげる。特に頭痛に良い。

山梔子サンシシ

体の内側の熱や炎症を鎮める。

連翹レンギョウ

解熱、解毒、抗炎症作用があり、皮膚の化膿や腫れ物に使われる。

薄荷ハッカ

熱を冷まし、気分をすっきりさせる。

生姜ショウキョウ

体を温め、吐き気を抑える。

荊芥ケイガイ

体を温め、発汗を促すことで、風邪の初期症状を和らげる。

防風ボウフウ

風邪の症状を和らげ、体の痛みやかゆみをとる。

麻黄マオウ

発汗を促し、咳を鎮める。

大黄ダイオウ

強い瀉下作用があり、便秘を解消する。体の熱を冷ます効果もある。

芒硝ボウショウ

便を軟らかくして排泄を促す。

白朮ビャクジュツ

胃腸の働きを助け、体内の水分代謝を整える。

桔梗キキョウ

咳を鎮め、痰を排出しやすくする。喉の腫れや痛みに用いられる。

黄芩オウゴン

体の熱を冷まし、炎症を抑える。

甘草カンゾウ

他の生薬の働きを調和させ、痛みを和らげる。

石膏セッコウ

体の熱を強力に冷まし、喉の渇きをいやす。

滑石カッセキ

利尿作用があり、体内の余分な熱と水分を排出する。