カンドコロ

安中散アンチュウサン

体力がなく、冷えによる胃痛や腹痛がある場合に用いられます。神経性胃炎にも。

この漢方薬が合う人の証(タイプ)

裏・寒・虚

この漢方薬は、これらの特徴(証)を持つ体質の人の症状を改善するのを得意としています。

「安中散」は、体力がなく痩せ型で、お腹が冷えやすい『虚証』『寒証』の方の胃腸症状に用いられます。名前の通り、お腹(中)を温めて穏やかにする(安んずる)ことで、冷えによる胃痛や腹痛、胸やけ、げっぷなどを改善します。特に、ストレスで悪化する神経性の胃炎などにも効果的です。

どんな人に向いている?(陰陽のタイプ)

判定: 陰証(いんしょう)

「陰証」とは、例えば、病気が長引いて体力が落ちていたり、体が冷えやすかったりする、エネルギーが不足した状態のことです。この漢方薬は、体を温めたり、元気を補ったりするのを助けます。

「証」のバランスチャート

この漢方薬が、どんな状態の人に特に合うかを示すグラフです。それぞれの「証」が、病気の場所や性質、その人の体力などを表しています。

  • 表(ひょう)・裏(り):病気が体のどこにあるかを示します。「表」はかぜのひき始めなど、病気が体の表面近くにある状態。「裏」は病気が体の奥深くまで進んだ状態です。
  • 熱(ねつ)・寒(かん):体が熱っぽいか、冷えているかを示します。「熱」は体に熱がこもっている状態。「寒」は体がゾクゾクと冷えている状態です。
  • 実(じつ)・虚(きょ):その人の体力と、病気の勢いのバランスを示します。「実」は体力があり、病気と戦う力が十分にある状態。「虚」は体力がなく、体が弱ってしまっている状態です。

このグラフを見ることで、その漢方薬がどんな人の、どんな症状を助けるのが得意なのかが、ひと目で分かります。

構成生薬と「証」へのアプローチ

漢方薬は、「生薬(しょうやく)」という自然の材料の組み合わせでできています。一つ一つの生薬が、人の体の特定の状態(証)に働きかけることで、漢方薬全体としての効果が生まれます。

桂皮ケイヒ

体を温め、血行を良くする。

縮砂シュクシャ

胃腸を温め、気の巡りを良くして腹痛や消化不良を改善する。

延胡索エンゴサク

血行を促進し、気の巡りを整えることで、強い鎮痛効果を発揮する。

甘草カンゾウ

他の生薬の働きを調和させ、痛みを和らげる。

牡蛎ボレイ

精神を安定させ、不安や不眠を和らげる。制酸作用もある。

良姜リョウキョウ

胃を強く温め、冷えによる腹痛や吐き気を抑える。

茴香ウイキョウ

腹部を温め、気の巡りを良くすることで、痛みや張りを取り除く。